がれき広域化は不必要。
全国で同じように起こっている広域化問題。
東京都は、北九州市と同じ石巻ブロックのがれきを受け入れている。
 
東京都は北九州市と同じく宮城県石巻ブロック(石巻・女川町・東松島)のがれきをすでに受け入れています。
ご存知のように、石巻ブロックのがれきは昨年9月に宮城県と鹿島JVが全量委託契約しを結んでいます。
当然、法律上の違法性が生じています。
東京都民が東京23区清掃一部事務組合管理者に、通告書(警告書)を出すことになりました。
 
 
 
東京都知事様
東京二十三区清掃一部事務組合管理者様
(財)東京都環境整備公社理事長様

 

        ご通告書

 

                          

                       23区がれきML 三井浩司

                       NPO法人ごみ問題5市連絡会
弁護士 佐竹俊之         
環境ジャーナリスト青木泰
 
東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

宮城県が石巻市及び女川町から受託したがれきの処理にあたって、北九州市及び東京都に対して広域処理に基づき、依頼するに当たり次のような重大な疑惑が生じた。そこで事実を伝え、下記のように警告する。

1.確認事実

① 宮城県の震災がれき(以下がれき)の処理は、宮城県内被災市町村から依頼を受けたものを、県として4つのブロック(石巻、気仙沼、亘理・名取、宮城東部)に分け、処理処分していた。


 ② 石巻市、女川町、東松島市は、石巻ブロックに区分け分類され、石巻ブロックは、685,4万トンのがれきを石巻市、女川町、東松島市から宮城県が受託していた。

③ 宮城県は、石巻ブロックについては、全量(685,4万トン)の中間処理、及び最終処分について2011年7月29日に公告し、プロポーザル審査の結果同年9月16日には、鹿島JVに業務委託していた。このほか津波堆積物200万m3も業務委託し、その委託契約金は、1923億6000万円であった。

④ 今年5月21日、環境省は、がれきの発生量の見直しを行い、宮城県については、約1/4下方修正し、石巻ブロックで宮城県が処理しなければならないがれき量は、当初の685万4千トンから312万トンに55%も削減されるに至っている。その結果を受け、宮城県は、今9月議会に鹿島JVとの契約金の約20%もの減額修正案用意している。(資料

 
2、通告事実

① 宮城県は、石巻ブロックについては、鹿島JVに、がれきの全量を業務委託していたため、昨年9月16日以降は、がれきの広域化は必要なく、広域化として他の市町村の廃棄物施設を使用する自治体間の委託契約は必要なかった。この事実は宮城県村井知事において、当然熟知していた。

② ところが、宮城県は、石巻ブロックのがれきにき、鹿島JVとの業務契約が締結された後も、他の自治体に処理・処分を、依頼しなければならないものがあるかのように装い、東京都と北九州市に広域化を働きかけてきた。

③ 宮城県は、東京都と(財)東京都環境整備公社との間で基本協定は、昨年11月24日に締結し、女川町のがれきを東京二十三区清掃一部事務組合が受け入れる協定は、今年3月6日に締結した。

④ 北九州市との間では、5月に試験焼却を行い、試験焼却に当たり鹿島JVに委託していたがれきを80トン、鹿島JVから北九州市に送らせ、そのトラック輸送分を鹿島JVが立て替えている。なお、この9月から本焼却開始予定と報道されている。

 
3、通告事実がもたらす法律上の違法性。

① 東京都及び東京清掃一部は、宮城県からのがれきを引き受けるにあたり、がれきの引き受けが、被災地の復興支援につながると説明してきた。しかし事実は大きく異なっている。

宮城県は、石巻ブロックのがれき全量(685万トン)を鹿島JVに業務委託していた。

ところが、現状では、がれきの総量の見直しにより、石巻ブロックのがれきは、当初予定の45%の312万トンとなり、鹿島JVは、業務委託量が減り、数百億円の委託料の下方修正がなされようとしている。鹿島JVの当初の予定処理量からすれば、370万トンも余力があり、金のかかる東京都や北九州市に持って行く合理的理由は、完全になくなっている。

 つまり宮城県現地では、他の都府県に持って行く広域化の必要性は無くなっている。東京二十三区清掃一部事務組合が、がれきを引き受ける時の処理単価は、トン当たり6万数千円である。(*1)宮城県が、鹿島JVにがれきの処理を、約2~3万円で委託していることを考えると、東京に持ってくることに何ら合理性はなく、「自治体は最小の経費で、最大の効果をもたらす」(地方自治法第2条の13項)に違背する。

 東京都、清掃一部事務組合は、宮城県と協定を結んだ時点で、すでに宮城県は、石巻ブロックにのがれきは、鹿島JVに委託していたが、その事実を隠し、住民や二十三区にがれきの受け入れの必要性を説明してきた。

 契約締結にあたって、重要事実を隠した点は、違法行為に当たる。

 
   ② また石巻ブロックがれきが、全量鹿島JVに業務委託していた事実を考えると、そのがれきを東京都下の一部事務組合や市町村に処理委託し、広域化を進めることは2重契約になり、宮城県と東京都下の自治体との広域化処理協定は、違法契約と言える。自治体は、法令に違反した事務処理を行ってはならず、広域化の受け入れを直ちにやめる必要がある。

③ 今回のがれきの処理費は、国が95%~100%国による交付金で手当てされ、被災自治体に交付金が支払われることになっている。宮城県は、鹿島JVとの契約によってがれきの処理費を1923億6000万円支払う約束を行い、その一方で東京都下の自治体にもがれきの処理費を支払う予定広域化を進めて来ていた。宮城県や東京都が、鹿島JVに業務委託していた事実を隠したまま、国に対して交付金を請求すれば、からがれきの処理費を2重に詐取することになる。

 

宮城県が、東京都、(財)東京都環境整備公社、東京二十三区清掃一部事務組合と契約を続行し、宮城県女川町のがれきを東京で処理する問題は、以上の様に明確であり、直ちに現状の協定を破棄し、税の無駄遣いを止めることを求める。

 

この点を今回は、書証を添えて通告し、同時に記者会見で発表させていただく。

 

宮城県がこれまで行ってきたことは、上述のようにがれきの広域化にかこつけて、国費を詐取し、無駄に浪費する行為であり、もし本警告書による通知を知った上で、宮城県のがれきの広域化処理に協力し、国の交付金の詐取を続ければ、我々は司直に告発し、詐取行為をすぐに是正することを求めるものである。

 

              

2012年9月7日

 

 

*1:東京都への委託は、運送費、処分費、コンテナ使用料、管理費を含め約6.3万円。